2014年06月07日
第21回 酒井義己水彩画展
6月1日(日)〜6月15日(日)まで旧来住家住宅ギャラリーでは「第21回 酒井義己水彩画展」
が開かれます。酒井さん(73・丹波市山南町岩屋)はリュック1つ背負って各地を旅し、
人との出会いを楽しみ、人々が生活を営んできた古い民家や、歴史ある建物を描いた
水彩画33点が展示されています。最小限の荷物で、泊まれる施設がない時は野宿をしながら
1〜2週間旅に出られます。「いくつもの忘れられない出会いがあった」と笑顔で話す酒井さんは
とても純粋で素敵な方です。今年で訪れた街は、260ヶ所を超えました。酒井さんのモットー
は「現地主義」。現地に着いてからすぐにスケッチせず、まわりをぐるぐるまわって描きたいものが
どれぐらい年数が経っているのか、どんな歴史があるのか人に聞いたり、イメージされます。
そして自分に甘えないように消せないペンで描き、対象物をよく見て1発勝負します。
昨年も同ギャラリーで展示して頂きましたが、「今の私を見てもらいたいから、そしていつも
足を運んでくださる方に同じものは見せられません」と33点すべて新作です。
酒井義己さんの素敵な作品の数々、是非とも皆様のお越しをお待ちしております。
西脇市上比延町・・・・西脇にも歴史のある場所があります。
題<雪ふる日>・・・ 丹波美術大賞展入選作品
場所 福井県小浜市
50号サイズ・・・作品は50〜60日で完成
サイズの大きな絵は、現地でスケッチして
アトリエに帰って描かれます。
路面に積もっている雪は、紙の色(白)です。
養父市大屋町・・・3階立ての最上階で蚕(かいこ)を飼って
繭(まゆ)をつくることを生業としていた家。
石川県金沢市・・・歴史の古い地区にある薬屋さん。
今でも商売をされています。
篠山市魚屋町・・・黒豆パンで有名な小西のパン屋さん。
訪れると城下町の賑わいを感じます。
奈良県大和郡山市・・・和菓子の菊屋さん
蒸し焚きするので、屋根の上に空気を抜く場所がある。
京都東山の疎水・・・煉瓦(れんが)作り。雨風にさらされ年月を重ねることにより
できた建物の色あいが素晴らしい。上に水路が通っている。
奈良県大和郡山市・・・今も営業されている喫茶店。
篠山市池上・・・「大正楼」という建物
阿部定事件(昭和11年)があった 犯人 阿部定が
「おかる」という源氏名で働いていた遊郭。
多可町中区鍛冶屋・・・金毘羅さんのお祭りの時は、この辺りも
たくさんの人が集まったそうです。今は
無人のようですが、古い建物です。
題<雨の日>・・・50号サイズ
酒井さんのお孫さん(長男の娘)をモデルにしています。
お孫さんに「動くなよー」と必至に描かれたそうです(^−^)
背景は逃げないので、後でゆっくりスケッチされました。
題・・・<明日は出漁>・・・加東市公募美術展入選作品
場所・・・石川県能登地方の漁村
サイズ・・50号
北国に住む生活の厳しさを表現されています。
雪の降る日に、手足が悴みながらも必至で仕事を
頑張っている作業を目に焼き付けられたそうです。
酒井さんは、展示を見に来られた方によくこう言われます。「なんか実物と、ここが違うね」
しかし酒井さんはいつもはっきり答えられます。「僕が現地で見た時はこうでした。」
本当にそのものを間違いのないように描くのであれば、写真を撮って家に帰り、それを
描けばよいのですが、「そんなことをすると全くおもしろくありません。現地に行く意味も
ありません。」といわれました。酒井さんの絵には、そこに出会った人々の思い、建物に対する思い
どうしたらおもしろく描けるかという思いがあります。写真には出せない人間味があります。
建物や人間の美しさ、はかなさ、楽しみ、喜び、悲しみ、いろいろなものが1枚の絵に入っています。
だからこそ「現地主義」なのです。
担当 (芋焼酎)